花火鑑賞士の集い(その2)錦秋湖湖水まつり花火大会 |
バスには、大曲エンパイヤホテル謹製の「花火弁当」とビール・チューハイ・お茶などの飲み物も積み込み、さながら遠足気分だ。行きのバスの中では、さきほどの昼花火の続きのお話と錦秋湖花火大会のお話を、僕がマイクを握り披露。なんと30分近くも語ってしまった(笑)。まさにバスガイドよろしく場を盛り上げる。
湯田到着は、午後7時過ぎ。8時からの花火大会まで、十分の時間がある。川尻小学校の駐車場の整理をする方からは、大型バス、マイクロバス2台の一行の僕らを「大曲の花火、関係者の方々ですかあ。うれしいですね。」と挨拶される。錦秋湖マラソンの前夜祭でもあり、明らかにマラソンランナーとは違うい出立ちの僕らを、すぐに見分けついたようだ。
各人に、弁当&飲み物を分配し、花火会場の錦秋湖のほとりへ。この時間だったが、十分に席が取れる。僕らは、湖水の間近の最前列に席どりする。会話を楽しみながら、弁当をいただく。
午後8時、第33回錦秋湖湖水まつり花火大会がスタートする。この大会の花火を企画・演出するのが、北日本花火興業である。以前から、花火写真家や花火愛好家にとっては、シーズンイン前の絶好の花火大会であり、北日本花火興業のバリエーション豊かな構成と抜群のロケーションに心躍らせる方も多い。
風は、対岸から観客席に向かって3メートル前後の適度な条件である。気温も10度前後と、例年に比べ冷え込みは少ない。
大会は、3部構成でプログラムが組まれ、ダブルスターマインを1番組と換算すれば、30番組構成となる。湖の特性を活かした構成で、「水中花火25連」が2番組、「水上開花花火」が1番組、「ワイド水中仕掛けスターマイン」が2番組と、湖上・湖水を利用したプログラムが5つある。
「水中花火25連」は、花火師がモーターボートに乗り込み、速度を上げ1発ずつ湖に点火したした玉を放り投げていく。放り投げて10秒から15秒後後に水の中で開発し、半円状に花火が開くものだ。スリル満点の花火である。さらに、その数分後には、波が畔にまで押し寄せてくる。実にロケーションに臨場感と緊張感がある。
また、「水上開花花火」は、対岸の数か所から斜め打ちをし、湖上で低空で花を開かせるものだ。これも通常の会場では、絶対にできない花火演出である。見ていて楽しい花火である。
「ワイド水中仕掛けスターマイン」は、湖上に数か所設営した場所で花火を開発させるもので、いわゆる「水上花火」といわれるものだ。コンピュータ点火の時代だからこそ、安全に遠隔操作でき、リズミカルな演出も可能とする。見ごたえのある演出であった。
北日本花火興業の演出花火は、ほぼ同じ花火が上がらない。バリエーションに富んでおり、「次のプログラムでは、何をやってくれるのか!」といった期待感がある。今回も、特殊な回転をしながら落下してくる新作や以前の「ニュートンの法則」を利用した3段階時間差開花花火だったり、鮮明なオレンジ色の花火だったり、和火先のバリバリ方向変化だったり、新たな取り組みや工夫を感じ取れた。さすがである。全く飽きのこない展開だった。
個人的には、かざぐるま芯の型物的割物に目が釘付けになった。また彩色輪星という表現がいいのだろうか、カラフルな色がつなぎ合わせたような輪星の出現も「おおおおつ!」と心の中で唸るものがあった。
この会場では、大玉の打ち上げ場所が離れており、5号玉のほうが大きく見える。しかし、遠くには離れてはいるものの、ドスンとくるウーハーのような重音と振動は、観客席まで伝わってくる。個人的には、北日本花火興業得意とする「華桔梗芯」や千輪物は、完成度が高く、芸術性の高い割物と評価したい。
いずれの花火も湖上に映し出され、ビジュアル的も満足感の高いものだった。点滅物が多かったが、湖では、その効果を増すように思えた。
首都圏から来た花火鑑賞士は、この花火大会鑑賞が初めてという方が多く。「まさか、ここまで内容の優れた大会だと思わなかった」とか「玉村の花火に近い」とか「これは、来年も見てみたい」とか「いやあ、魅せられました」とか「今日は、最高の一日!」といった感想が多かったようだ。
まさに、知る人ぞ知る、穴場ともいえる通好みの花火大会といえよう。なんといっても、湖の立地条件をうまく活用した花火大会なのだ。写真家にとっても、外せない花火大会へと成長と進化を遂げている。
この夜、午後10時40分頃大曲到着し、二次会会場シーズンダイナー喜代へ。午前様まで花火談義に花が咲く!