花火鑑賞士のつどい(セミナーについて) |
今年の特別セミナーは、新潟県小千谷市片貝の片貝煙火工業の本田正憲社長。本田社長は、長き8年に渡り(社)日本煙火協会会長を4期8年に渡り務めた花火界の重鎮。また今年から地元小千谷商工会議所の会頭を務める多忙な身の方である。本田社長からは、依頼に快諾していただき、心から感謝である。
演題は、「世界一 正四尺玉!片貝まつり」。片貝の花火の歴史や正四尺玉にかける思いを語っていただいた。片貝の花火の歴史は、400有余年。史実や推定に基づくデータを検証しながら話は進む。「三尺玉発祥の地」の裏話などユーモアたっぷりな話に会場が沸く。とても勉強になったお話だった。
面白かったのは、日本における花火の伝わり方で、「北前船説」の仮設は面白かった。その事例として、3か所を上げ解説。①片貝、②大曲、③大石田。この3つは、いずれも川運で栄えた町。いわば川港として繁栄したところ。片貝は、新潟から信濃川で上ってくる川運の要衝だった。同じく大石田も酒田から最上川で上ってくる穀倉地帯の荷積み港。そして大曲。土崎港から雄物川で下ってくる穀倉地帯の要衝。いずれも川幅があり流れが穏やか。しかしそこから上流は急流となり船を進ませるのは困難となる。その船着き場は、北前船商人でにぎわい、遊郭や酒場が繁盛する。その地理的要因が共通する3つの町は、「花火」という余興が根付いていった。そのことを今後、解明してみたいという。ぜひとも協力させていただきたい。実に興味のあるお話だった。(講演中は、山形とお話ししたが、大石田のことだ)
本田社長の片貝花火についての講演に引き続き、休憩をはさみ、恒例となった僕のフォローアップセミナーである。
今年の僕の演題は、「新潟の花火と新潟の花火映画」というタイトルで、1時間30分お話をさせていただいた。(10分の時間オーバー)せっかく本田さんを招聘したからには、「大玉の新潟」についてアプローチをしたかった。昨年、新潟市民会館で「新潟花火アカデミー」を開催した。その時のゲストとして本田社長をお呼びして第二部で僕とトークショーを行ったのだ。今回もそんなパターンをイメージした。
今回は、映像を織り交ぜ、前半は「越後三大花火」について、後半は長岡花火映画「この空の花」と片貝花火映画の「おにいちゃんのハナビ」について言及する。もちろん、本田社長と掛け合いながら、進行していた。
編集には、弊社門脇クンが10数時間以上かけて、僕の指示通りのアップル・KEY NOTEを作ってくれた。また石井夫婦からは映像協力いただき感謝である。
新潟の花火鑑賞のポイントや今年の目玉についても披露させていただいた。各地花火の歴史や背景、さらには企画の裏側について、僕の取材メモをもとに、より深くアプローチさせていただいた。ここ数日間は、そのまとめに時間を割く。こちらの作業は、仕事外のため深夜の作業ではあったが、楽しく我を忘れ、午前三時過ぎまでかかった日もあった。花火映画の分析のため、先月の「この空の花」の東京での試写会のメモや「おにいちゃんのハナビ」のDVDを3回チェックし、その製作意図を見出し、「片貝花火のツボ」としてまとめあげる。
いつもボランティアとはいえ、せっかく大曲まで足を運んでくださる花火鑑賞士の皆様に、「大曲に行った甲斐があった」とか「ためになった」とか「勉強になった」とか「面白かった」と喜んでもらいたくて、頑張っちゃうのだ。だから、「今年も勉強になりました」というその一言が最高にうれしいのだ。本当は、大曲の花火倶楽部他スタッフの方に聞いていただきたいのだが…。
懇親会の時に、「新潟の花火を見たくなりました」とか「小西さんが力説したあの映画を見たくなりました」と声をかけられた。花火でコミュニケーションの輪が広がっていく。素敵な共通言語なのだ。
会場に設置された「世界一 正四尺玉」の前で記念撮影をする方が多く、目を引いた。さすが、1万4千円の着払いの効果はある。本田さんに「四尺玉を送ってください」とお願いし、パレット付きで届いた時は驚いたが、やはりビジュアルこそ、最高の説得力だと確信する。