新作花火コレクション2012「KONY'S EYE」① |
新作花火コレクション2012が終了した。「降水確率90%」と予報されていたお天気も、午後4時には晴れ上がり、花火コレクション終了時まで、一切雨降ることなく開催できた。まさに、「奇跡」と呼べるお天気だった。よって、最高のコンディションの下で花火が打ち上げられたこと、うれしく思う。みなさまの思いが天に伝わったものと理解する。
今年も、厳しい環境の中でご協賛いただいたスポンサーの皆様、そして全国からの「花火好き」のボランティアスタッフの皆さんの協力で運営できたことに感謝したい。多くの皆様に支えられて開催できること幸せに思う。
さて、今年の新作花火コレクションについて、個人的な作品総評をしてみたい。あくまでも、小西亨一郎の個人的見解である。目に焼き付けた印象だけで書いてみたい。(プログラム順)
・山﨑香代(山﨑煙火製造所)「夜空に輝け…☆」
立体造形の時間差点滅のアラカルトと呼べる手の込んだ花火だった。時間差の表現も巧みであり、ポイントの高い花火内容だった。ただ、プレゼンが簡単すぎて、その技術面の凄さが伝わらなかったのが残念。
・本田和憲(片貝煙火工業)「天体の環〜planetary ring〜」
この花火こそ、今大会の「挑戦」的作品のひとつであり白眉であった。様々の形状の「環(ring)」を表現した意欲的な作品だった。ダブル・リング点滅やダブルのリング状に見える二度咲き千輪点滅やら、工夫を凝らした作品だと理解できる。特に細やかで繊細な紅のボタン星を真ん中に集め、その周りにダブル・リングの点滅を表現した花火は、「天体の環」というテーマ性を見事に表現した作品である。
・小口浩史(三遠煙火)「ルネサンスの光〜和と洋 花火の融合〜」
冒険的な花火だった。ヨーロッパ流のシリンダー花火をベースにステンドグラスのような彩色星を散りばめ、時間差(得意のマジック)でカタチや色合いを表現した花火。はっきり言って「おもしろい」意欲作だった。
・筒井計介(高田花火工業)「灯心草〜冬〜」
高田花火工業の作品は、土浦や八代でその精度の高さを理解していた。今回も「小玉」の4号玉や5号玉で、こうした緻密な「八重芯万華鏡」や「三重心万華鏡」を表現してくるから、たまらない。こうした精巧な技術力を見せつけた「綺麗な作品」だった。
・久米川和行(和火屋)「Change The World〜変わり続ける彩の世界〜」
「色」にこだわる久米川が、星の3度変化、4度変化に挑戦した作品だった。しかもパステル系での変化を試みたことに意義がある。JCの秋田ブロック会長で忙しい中ではあったが、しっかりと変化する「星」を準備していたことこそ、評価したい。
・山内俊幸(山内煙火店)「日本の花〜侘寂〜」
昨年のえびす講で評価された花火の改良版である。和火(引き)、先割、二度咲き霞草などを駆使し、1発の玉で侘寂を表現した作品。ただ、プレゼンで宣言したラストの「白っぽく緑がかった月」や「引き葉落」でハラハラ落ちる様は、上手に表現できずに終わったのが残念。俊幸さんも自覚しており、これからの修正や進化が楽しみである。
・和田順(ファイアート神奈川)「虹のアーチ」
スタートの雨の「青」、そして晴れ渡るおひさまの「赤」、そして三段階で七色の虹がかかる状況を時間差で描き、千輪で広がりを持たせた物語性のある作品。やはり、虹のかかる様の過程がわかる作品だった。
・小幡知明(菊屋小幡花火店)「新緑のチカラ」
この花火は「ジラシの花火」だろう。厳しい冬(雪の中)から、希望に輝く新芽(緑)の生命力を表現した花火。小幡得意の「銀の世界」(銀千輪)で、雪の世界を中盤まで、しつこく打ち上げる。いつ「新緑」を表すのかとじらす。そして後半から緑群光芯で引きの先が萌黄色で留め、新緑を表現する憎い花火だった。プレゼンの威力大だった。僕なりのテーマを付けると、「北国の春2012」といった感じで、雪深く、遅い春の到来を告げる新芽の出現を表現した花火だった。
・小勝康平(丸玉屋小勝煙火店)「観光名所 東京編〜東京タワーとスカイツリー」
タイムリー性の高い花火。立体型物で2つのツリーに挑戦した意欲作。課題は、安定感だろう。
そしてプレゼンNO.1は、窪田悠樹子さんだ。「力の入った、思いのこもった、一生懸命な」プレゼンティーションだった。テーマ性や発想力は抜群である。女性の視点でアプローチした花火だった。ポイントの明確だった。しかし、欲張りすぎた。枝豆の「さや」や「さやに入っている状態」を表現するだけでもよかった。シンプルかつ分かりやすい演出したほうが、評価されると思う。
(明日に続く)