田中克幸氏「秋田ワインとの邂逅」(その7)セミナー |
ここでは、「北東北ワイン」を8種類のテイスティングとする。
当日のテイスティングワイン
①高城プラムワイン(あまさぎワイン・秋田)
②下北ワインryoピノ・ノワール2009(サンマモルワイナリー・青森)
③メルロ樽熟成2007(エーデルワイン・岩手)
④紫波物語リースリング・無ろ過生2010(紫波ワイン・岩手)
⑤シャトーメルシャン大森リースリング2009(メルシャン・秋田)
⑥小公子 鴇(ときと)2010(ワイナリーこのはな・秋田)
⑦保呂羽ワイン 小公子・ノンフィルター(カネトク・秋田)
⑧山葡萄クラシック(くずまきワイン・岩手)
田中克幸氏は、1種類ごと系統立てて、ワインを分析しながらコメントを述べていく。「北東北のワインは、赤も白も共通項がある。やさしい飲み心地、低アルコール(10.5~11.5%)、垂直性のあるテイスト、ミネラル感、酸味、そして長い余韻と列挙していく。
そして、その優位性についてコメントを述べる。こちらは、僕が10月5日号の毎日新聞秋田版のコラムに執筆している。参考までにその文を掲載する。
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僕が所属する秋田県ワイン協議会では、先週二日間に渡り、ワインと食の評論家でありジャーナリストである田中克幸氏を招聘し、「秋田ワインの可能性と方向性について」アドバイス、並びに指摘をしていただいた。いわば、ワインクリニックを実施した。
こちらは、秋田県食品産業課のバックアップを受け、秋田県ワイン協議会が開催したものだ。今回の視察地は、ワイナリーこのはな(鹿角市)、十和田樹海農園(小坂町)、大森ワインぶどう生産者組合(横手市大森)、保呂羽カントリーファーム(横手市八沢木)、あまさぎワイン(由利本荘市岩城)の5箇所。そして、セミナーを二度開催という実に内容の濃いものとなった。最後のセミナーは、日本ソムリエ協会北東北支部との合同セミナーとした。
田中克幸氏は、初めての秋田訪問であるが、「今回の秋田ワイン視察は、大きな発見と収穫があった」と総評の中で述べた。その理由として、①日本において独自性の高い品種を栽培していること、②いずれのヴィンヤード(畑)の葡萄の樹は自根であることの2つを挙げた。
①の山葡萄交配品種(小公子、国豊、ワイングランドなど)は、日本のワイン産地には少なく、独自性が高い。対抗する産地がない優位性がある。しかも凝縮感が高く、ワイン向きであること。②は、世界や日本のワイン産地を探しても、フィロキセラ(害虫)対策で「接木」が主流で、「自根」栽培は極稀なこと。「こうした二つの絶対的優位性を秋田は持っている」と絶賛された。USP(ユニーク・セリング・プロポジション)が高く、ワインにする以前に、もうアドバンティージを得ているのだ。
参加者全員が「衝撃」を受け、自らが「ポテンシャルの高さ」を認識し、自信を持った二日間だったことはいうまでもない。その結果、やるべきことと、今後の方向性が見出されていく。大化けする可能性が高い「秋田ワイン」のウリや強みを、世界へと発信していきたい。
(ここまで)
毎日新聞のリレーコラム「木曜の窓」に執筆したとおり、今回の2日間の研修は、これからの秋田ワインの方向性を示したものといえよう。田中克幸氏も「秋田はおもしろい!」と何度も口にした。我々秋田県ワイン協議会のメンバーも、先生の指摘や助言をプラスベクトルへと昇華させる努力や取り組みをしていかねばならぬ。
やる気が充満してきた2日間だった。
今回は、ブログ上でも記録に残しておくべき「ヒント」となった研修だった。これからも、継続して皆がプラスになる事業を企画していく。