「おいしい伝統 熟成ヨーロッパ」ポートワイン(その2) |
今朝の新聞でも、雪による被害や落下事故など、詳細に伝えられていた。昨日まで、雪による死者は秋田県内で5名、重軽傷者は、50名を越えている。近年では、2000年、2005年以来の大雪である。大仙市でも、除雪費予算の7億8千万円が底付き、補正で約2億円が追加で組まれた。この冬型の天気は、立春の2月4日頃まで続く見通しだ。
さて、昨日の日本ソムリエ協会北東北支部の第1回例会「おいしい伝統 熟成ヨーロッパ」の話に戻る。
ポートワインについてのセミナーは、極めて稀である。今回楽しみにしていた講座であった。ポートワインの講師は、田崎真也氏が代表を務める㈱サンティールのディレクターである馬場祐治氏である。馬場氏は、ポートやシェリーといった酒精強化ワインのプロフェッショナル。
ポートワインは、ポルトガル北部ドゥロ地方で作られている酒精強化ワインのこと。ワインの発酵途中でブランディ(グレープ・スピリット)を加えることで発酵を止め、葡萄本来の甘さを残す。アルコール度数は、19度~22度。その多様で美しい色、豊かな風味、深い甘みから「ポルトガルの宝石」と呼ばれている。
馬場氏からは、ポートの歴史、地勢(気象、土壌)、主な品種、作り方や熟成の仕方などを学んだ後、6種類のテイスティング。
①ホワイトポート(Fonseca)
②ポートニック(カクテル)
③ルビーポート(Smith Woodhouse)
④トウニー10年(Graham)
⑤レイト・ボトルド・ヴィンティージ(LBV)(Niepoort)
⑥ヴィンティージ(Casal dos Jordoes 2000)
それぞれのポートの特徴や造り方、マリアージュなどを学ぶ。中でも、②のカクテルは、現地でも人気のある食前酒とのこと。
この「ポートニック」は、ホワイトポート+トニックウォーター+レモンスライス(orミント)+氷とレシピは至って簡単。飲んでも爽やかで、アペリティフ(食前酒)には最適のカクテルだった。
最後に、最高級のヴィンティージ・ポートの開け方をレクチャー。ヴィンティージ・ポートは、最優良年しか仕込まれない最高品質のポートである。20年、30年はもちろん、50年、60年はザラ、100年以上のモノでも美味しく飲める。
ポートは、長期熟成してもリコルクをしない。だから、焼き鏝(テナス)で、瓶ごとコルクを一緒に先端部分を切り取るというヴィンティージポートの伝統的な開け方だ。瓶の先端部分を鏝で熱し、水をかけ冷却し、瓶がパッカと割れやすくする。こちらも実践してくれた。僕も、実際この開け方を見るのは、初めて。
最後に飲んだ、最高級のヴィンティージポートは、2000年モノでまだまだ若いのだが、甘みの中に渋みや複雑性、力強さ、芳醇さを感ずる。そして長い余韻が、しあわせ感を高めていく。
久々に、じっくりと6種類のポートワインを味わったが、ドライフルーツやビターチョコなどと一緒に合わせて行きたい最高のアペリティフであり、デジェフティフである。
今回は、「おいしい熟成 ヨーロッパ」の逸品を堪能できた例会だった。なぜ、こうした「熟成の美学」が味わうことが出来るのか。といった過程や工程、素材を知るとともに、ヨーロッパに息づくスローフードの考え方や取り組み方まで、さらに食文化まで知る絶好の機会となった。