第23回やつしろ全国花火競技大会(その3・5号の部) |
5号の部は、5号5発で競う。この種目は、全国、九州の参加花火師がフルエントリー(30社)するもの。
割物あり、創造系あり、型物ありで、審査が難しい種目でもある。5寸という小玉で、どこまでポテンシャルを高めていくのか。そのような視点でチェックさせていただいた。
この種目でも、北日本花火興業の標準審査玉があまりにも、精度が高くお見事の一言。「芯入り変色の花」という玉名ではあるが、パステル系の星が4度変化する手の込んだ花火。審査委員長、これまた80点!もちろん、厳しい審査になったのは、いうまでもない。
僕の注目した印象に残った花火は、次の通り。(打上げ順番順)
・子泣き爺とネズミ男(北日本花火興業)
型物の帝王ならではの作品。子泣き爺は、3発の内1発は完璧。ネズミ男は、2発とも完璧。型物の難しさにあえて挑戦し、会場を沸かせる。
・UFO目撃!(イケブン)
閃光星の時差式発光する手の込んだ高度な花火。閃光が廻るようにフラッシュ的に光る様がUFOのごときだろう。こういった創造性の高い花火は、通好みといえよう。
・昇曲付彩星芯錦冠菊彩星(大曲花火化学工業)
実に判りやすいいい花火だった。ステンドグラス系の彩星を芯と菊先の留めに使用した斬新なスタイルの花火。5発とも綺麗に開花し、冠菊の先がそれぞれの鮮やかな色に変化し、余韻を残して消えていく。この花火が、この部の優勝に輝いた。
・昇曲導付八重千華芯千華菊(山内煙火店)
ここまで5寸で「芸術性」を追求した花火を表現できるのか。最高に手の込んだ構造の素晴らしい花火だった。八重と千華のコラボ。お見事でした。
・昇曲導付芯入残光菊(アルプス煙火工業)
ベストチャレンジ!5寸で「八重芯」1発、「三重芯」2発、「四重芯」2発。しかも5寸で四重芯がはっきりと目視できたから、超驚きの作品だ!玉名は?マークだが、やってくれたことは、実に憎い演出だ。この部では、白眉である。
このように、創造系あり、芯入り割物あり、型物ありで比較が難しい種目である。しかし、参加花火師が5号玉という限られた大きさの中で、限界まで追求し、その可能性を引き出す。そうした意欲的な挑戦スピリットに拍手である。
(この部で優勝した大曲花火化学工業の新山良洋社長)