第23回やつしろ全国花火競技大会(その2・全国10号割物の部) |
年々高度な作品が出品されている見ごたえのある種目である。この種目では、全国(九州地区を除く)の参加花火師21人による10号割物1発を打上げ、競うものである。
標準審査玉は、恒例の前年度優勝者が担当する。当然のように作品の精度が高い。今年は、北日本花火興業の三重芯変化菊。完璧な三重芯変化菊先の点滅で、同心円といい、留めの点滅といい、文句なしの玉だった。この標準審査玉は、審査委員長の中村氏が判断する。80点の高得点。
この高得点でのスタートであるから、実際厳しい審査となった。
審査結果はともかく、僕が注目した印象に残った作品は、次の通り。(打上げ順番順)
・「昇曲導三重芯時差式開花菊」(小松煙火工業)
凄い構造の花火だった。驚きである。大曲の自由玉で、二層の時差式開花菊を披露し喝采を浴び評価されたのだが、さらに八代では、三層構造の立体で、しかも時差開花を表現した。銀、紅、紫、緑と一瞬に三重芯を見せるのではなく、芯ごとの球体色を時差で表現する。しかも時差式開花するように、すべての星の発光時間を計算した花火だった。ここまでやるのか!
・「昇曲付四重芯変化菊」(菊屋小幡花火店)
見事なカラーコーディネイトで、完全目視できる四重芯。
・「昇曲付四重芯変化菊」(イケブン)
パステルカラーでコーディネイトしたイケブンならではの鮮やかな四重芯。
・「昇曲付四重芯変化菊」(紅屋青木煙火店)
昇曲導から白眉だった。芯入り小花で見事な同心円を描いて、上昇する様は、唸るものがあった。しかも、青木ならではの勢いのある開花で、完璧な四重芯を光露入りで表現。親星の光露の留めも一斉にピッカと光ってすぅーと消える見事さだった。
・「昇曲導付四重芯変化菊」(野村花火工業)
完全目視できるお見事な四重芯。
・「昇曲導付三重芯変化菊」(山内煙火店)
これほどまでに、大きく芯をクリアに見せる三重芯は、三重芯のお手本である。それくらい素晴らしい作品で、「芸術」と心の中でつぶやいていた。
・「昇曲導四重芯変化菊」(丸玉屋小勝煙火店)
きれいな同心円を描いた花火だった。
今年の10号割物の部は、実に見ごたえのあった作品が多く、特に四重芯の出来が良く印象に残る作品が多かった。手の込んだ作品は、魂が入っている。それが伝わってくる。メモを取りながら、チェックしたが、いい作品は映像を見なくても、何度も僕の脳裏にリフレンされて浮かび上がる。