さくらワイン2009のテイスト決定! |
デビュー前の1ヶ月間は、何度も盛岡、青森、秋田に通って、「新しい北東北のワイン」を説いて卸店や主力ワイン店を回っていた。さまざまな仕掛け作りや販売促進のあり方を模索し、とにかくお店回りを繰り返していた。大きなリスクを抱えていたので、真剣だった。こういうときは、人間本当にがんばるものだ。このとき、2ヶ月で6キロ体重が減った。醸造委託のワイナリーや秋田総合食品研究所にも何度も足を運んだ。テイスティングが最も重要だからだ。1泊2日でワイナリーに泊り込み、テイストを決定した。
この年、僕の杞憂は初日で消えた。発売当日朝から、ものすごい反応だった。続々と注文が舞い込んだ。初年度の5,000本は、約1ヶ月で完売となった。お客様から「おいしい!」とお手紙や電話、メールをいただいた。とにかく、リピーターが多かった。
2年目、本数を8,000本へ。数量を増やすことで、契約農家を3人から4グループへと拡大していく。
3年目、本数を10,000本へ拡大。この年からハーフボトルをラインナップ。
4年目、本数を12,000本へ。初のTVCMも流す。岩手地区、青森地区拡大。
5年目、霜被害で、本数は昨年維持がやっと。「さくらワインスパークリング」発売。フランス・リヨンでの「インターナショナル・カデウス・アワード」で日本チームが「さくらワイン」を採用し、準優勝。
と、本数やラインナップを伸ばしてきた。そして多くの「さくらワイン」ファンを作ってきた。
そして、迎える6年目。今年は、初心に帰って「品質のさらなる充実」を目標にし、栽培、醸造に力を注いできた。特に、醸造においては、混醸とせず、品種ごと(ニホンヤマブドウ、ワイングランド、国豊3号)タンクでロゼ醸造するという手の込んだ製法を採用する。しかも、すべてが、セニエ法醸造し、最後にブレンディングし、2009のテイストを決めていくというボルドー型ロゼの製法とこだわった。
本日、僕をリーダーに数人のソムリエとブレンディング作業を行った。ワイングランド、国豊3号、ニホンヤマブドウの比率を決めるものだ。
それぞれの品種に特徴がある。ワイングランドは、爽やかですっきりとした味わいの山葡萄交配品種。国豊3号は、独特な複雑性をもったテイストと香りを持つ個性的な山葡萄交配品種。そして、ニホンヤマブドウは、日本古来の山葡萄で、酸味が特に強く、甘酸っぱさを主張する。こうした特長を生かし、慎重にブレンド比率を決めていった。
ここ数年の保存サンプルもテイスティングしながら、「さくらワイン」の特徴を主張しつつ、2009年の特徴をアピールできるワインに仕上げる。
2009年は、特に遅摘みの国豊3号の出来が良く、この葡萄の持つ複雑性を生かした、ほんのりと甘みのある「さくらワイン」に仕上げることができそうだ。酸と糖のバランスも抜群によく、冷やして飲むと、北東北の満開のさくらのシーンが目に浮かぶ光景が感じられ、華やぐ桜の香りが引き立つ。世界初の天然さくら酵母ならではのワインの真骨頂でもある。