第78回土浦全国花火競技大会「鑑賞記」その1 |
今朝は、北海道の地より先日の「第78回土浦全国花火競技大会」の鑑賞の感想を記したいと思う。記憶をたどりながら、プログラムのメモから僕の私的感想を述べたい。
今年は、打ち上げ会場(10号割物)は、イオン(ジャスコ)駐車場となる。つまり、昨年建設中だったイオンが今年の5月オープン。市との契約で「花火大会の日は、保安距離の中にあるため、その日は休業をし、その駐車場は、割物打ち上げ場として使用する」といった取り決めが交わされている。そして、前日の午前8時まで開催するかどうかの判断を土浦市側がイオンに告げなければならないという。
今回は、当日「雨」の予報であったが、夜には晴れるという予報を信じて「GO」サインを出したという。今後は、営業補償の面からも、「雨が降っても中止をしない」という決断が下されていくものと思われる。当日は、土浦商工会議所とこうした意見交換もさせていただいた。ある程度、花火大会の裏事情も知っておく必要がある。同じ花火大会を運営をしている身のひとりとしては。大曲だって打ち上げ会場裏の田んぼに何かができてもおかしくないからだ。だからこうした事情を先例として、手を打つ必要がある。反面教師として、いい勉強となった。
以前からもそうだったが、土浦の花火の打ち上げ会場事情は、土手の裏側の田んぼであるがゆえ、筒からの発射シーンが見ることができない。10号割物では、昇り曲導の途中から視界に入る。ましてや今年からは、ジャスコの看板の上あたりから、視界に入ることとなった。当然のように風向き次第では、ジャスコの屋上に、玉皮の破片が散乱する年もありうることとなる。ましてや不発薬も落ちる可能性も高くなるものと思う。
今回、僕らの一行には、大曲の花火の審査員の重鎮である有明さん、佐藤鉱二さん、審査を総括する佐藤雅俊さんらと一緒だったため、花火鑑賞も辛らつなコメントが飛び交う雰囲気さえあった。
「土浦の花火」は、年々進化している。「大会提供・土浦花火づくし」は、単純明快で、大玉の使い方の見事さに「理屈なしに楽しい花火」と感じた。音楽はなくても構わない展開ではあるが、迫りくる大玉の使い方は、シンプルで美しい。構成も単純で、響くものがある。小細工がない分、何も考えなくてもいい。そのような印象を持った。大曲と比べてしまうが、大曲の大会提供は、綿密な仕掛けが多すぎる。小細工が目に付くところもある。考えなければわからない年もある。こうした難解さを払拭した「簡単」さが、新鮮に思えた。花火の展開は素晴らしく、「スターマインの土浦」の真髄をこの番組に見出した。実に余韻のある打ち上げ方だった。皆一同、高い評価の「大会提供・土浦花火づくし」であった。ただ、音楽はまったくどんな曲でもよかったみたいで、音楽とは分離していた印象を持つ。
「10号割物の部」
標準審査玉からずっこけた。「八重芯」がクリアでないのに、74点の高得点。僕の欄には「×」印(65点)となる。僕は実際、現場では、◎、○、△、×の4つに分類している。◎は、85点以上、○は78点以上、△は70点以上、×は69点以下となる。そして、落下は点数からマイナス5点として算出している。
僕が評価した割物
山崎煙火製造所 「昇曲付四重芯点滅菊」
(とても安定感のある芯で、点滅も一斉に消え、高感度の高評価の割物)
山内煙火店 「昇曲導付三重芯変化菊」
(山内らしい際立った特徴のある快心の割物!二重目の白い光露が印象に残る)
小松煙火工業「昇曲付五重芯変化菊」
(中央部の色が少し混ざったが、十分芯が目視できる五重芯。特に4重目、5重目、親星の6重目がクリアで、小松の五重芯、復活の兆しを感じた作品だった)
北日本花火興業「昇曲導付四重芯変化菊」
(昇曲導に分花にクロセットを使用し、スタートから目を引き加点要素の高かった。そしてクリアな四重芯。北日本の四重芯が安定してきた)
阿部煙火工業「昇曲導付三重芯変化菊」
(完璧な三重芯。三重芯のお手本ともいえる盆と大きな芯に感服。消え口もお見事!)
青木煙火店「昇曲付四重芯変化菊」
(青木らしい伸びる親星と明るい花火、すべてが光露という割物)
野村花火工業「昇曲導付四重芯変化菊」
(野村の完成度の高い四重芯!エメラルドグリーンが決め色となっており、野村カラーは、目視しやすい暗めのカラーリング)
伊那火工堀内煙火店「昇曲導分砲付四重芯菊先紅光露」
(明確な玉名どおりの割物。中央部の芯が混ざったが、全体的なバランスよく安定性がある)
菊屋小幡花火店「昇曲付四重芯変化菊」
(亡き清英さんの玉を思わせる精密性の高い四重芯で、余韻のある玉だった)
以上が84点以上の好評価の10号割物だった。