青木昭夫さん名言「たかが花火、されど花火」 |
最後は、青木昭夫さんとスタッフのみんなと二次会。花火談義は尽きることがなかった。実に皆さん、花火のことになると目を輝かせて語っていた。
まずは、多くの花火鑑賞士の方々が、大曲まで来ていただいたことに、感謝したい!ありがとう!
青木さんの講演は、青木家に残る貴重な資料を基に、お話をしていただいた。
初代儀作さんの精神が、青木家代々に引き継がれ、今でも生きている。伝統を守りながら、技術を継承しながら、改良や革新的な開発、挑戦し続け、今もなお、日本の花火界のトップに君臨している。
青木儀作は、日本花火業界における「芯入り割物の父」と呼べる存在で、日本古来の多重芯花火を語るとき、まず青木儀作の話しをしなくてはならない「歴史的人物」である。
勤め人の傍ら、長野周辺の花火屋に出入りして、花火の製造を覚えていく。生来、手先が器用で、花火が大好きだった儀作は、明治時代の花火製造免許制導入時に、いのいちばんに手を上げ、独立し、紅屋青木煙火店を開業する。
手先の器用さは、玉の精度に反映していき、注目の花火職人として脚光を浴びていく。
大正10年東宮奉納花火が、東京・芝浦で打上げた際も、トップと大トリを任されるほどの技量を持っていた。
その技術を試すため、全国の花火コンクールに出品していく。藤枝のコンクールでの優勝を皮切りに、墨田川、大曲など、名高いコンクールで、その名を高めていく。
その当時のコンクールは、旅費代は出るが、玉代は、タダ。しかし優勝すると、玉代の10倍以上の賞金や商品が出たという。当時の長野は、業者が73社(個人登録も含む)もあり、過当競争気味で、しばし花火の「安売り」の業者が入札することも多かったという。今でもその傾向はあるが。
そのときに、儀作は、「安売りするくらいならば、いい花火を作って、コンクールに出品する」と方針を決め、難度の高い花火つくりに没頭していく。
青木家に残る儀作の資料から、大正8年に「八重菊」を試作したことが明らかになっている。その資料をプロジェクターに映しながらの説明だった。その資料によれば、「外側の二重の芯を持つ」と書かれており、「芯菊の芯がさらに菊を表す」と付け加えている。
そして、大正11年と12年には、芯が大きい菊、つまり「丁字菊」を開発し、「芯は青と紅と二重の芯にした」との記載がある。まさに、このときには、すでに「八重芯」が完成していたことを意味する。
そして、初めて昭和3年9月に、飯坂のコンクールで、「八重芯丁字菊」を出品し、同業者の度肝を抜いた。r歴史上「八重芯」の登場は、儀作の試行錯誤の結果、このコンクールで初めて、公にデビューしたことになる。こうして、いい花火をつくることによって、青木の付加価値を高めていく。(あとは、略)
こうした、儀作さんの開発スピリッツが青木家に伝承されていることを、青木昭夫さんの講演を通じ、十分に理解できる貴重なものだった。
その後、多門さんの話、現在の話を通じて、「日本の花火を伝承していきたい」と語り、「自分で納得し、自分で感動する花火」を目指し、その結果、観衆の皆様と一緒に感動したいのだと。
花火鑑賞士に対しては、「花火は、肩を張らず、楽しんで見て欲しい。そして温かい目で見て欲しい」と注文。
最後に、「たかが花火、されど花火。。花火を楽しんでください。そして大曲には期待している」と結んだ。
その後、行った僕の講演の中でも、映像や青木さん本人とのやりとりを通して、青木さんの目指す花火や「花火」のあるべき姿を感じ取っていただければ、幸いである。
何人もの鑑賞士の方から、「小西さん、今日はおとなしい講演でしたね」といわれたが、青木さんのすごさを語るのに、テンション上げず、クールに分析したほうが、説得力が増すと考えた。ましてや、ご本人の前で、笑いをとるような話でもない。ま、「おもしろい話しをする男」といったイメージができているらしい。「おもしろい」イメージは、プラスなのかマイナスなのか、今後反省も込めて、考えてみたい。
僕は5年間自発的ボランティアで、フォローアップセミナーで講師をつとめてきた。これは、大曲花火倶楽部として、花火鑑賞士の方々を歓迎するためと、花火の鑑賞の知識として、僕の知っていることや研究していることを伝えてきた。しかし、この会の主体は、「花火鑑賞士会」であるため、もう「大曲花火倶楽部」ではないと思う。要請なき講演は、今後考えていきたい。いずれ、鑑賞士の中で、自主発表やとっておきのお話など情報交流会的なスタイルも考えられようか。様々なアイディアを出して検討してほしい。そのステージにもうきているのだと思う。
花火鑑賞会では、テンションをあげ、盛り上げに徹した。特に玉名と業者名を当てる「生の大玉花火」は、盛り上がった。
昨日は、カメラを撮る余裕もなく、今日のブログには、映像はない。インパクトに欠ける(笑い)。