ベストセラーよりロングセラーを目指す。 |
今日は、同い年で元博報堂のCMプランナーで、今や数々のベストセラー、ロングセラーを世に送り出す作家、中谷彰宏の「超一流の構想術」(ファーストプレス)。今でも就活の学生の間で「メンタツ」を知らない人はいない。「メンタツ」とは、ご存知「面接の達人」というロングセラー本である。
彼の本は、まさに広告プランナーならではの、単純明快さがあり、つねに「つかみ」といえる、表題つまりコピーライティングの巧みさに感心する。そのコピーが、文章を一気に読ませる。しかも、重要箇所を太字にしているため、要点がさらにわかりやすい。いずれも、ショートパラグラフで、どんな人でも、すらすら読めるよう、工夫されている。これは、プロの広告マンとしての、センスのよさと才能を感ずる。
テレビ広告でも、ラジオ広告でも、新聞広告でも、いかに「記憶させる」よう仕掛けづくりをするか、そして「身せるか」「聞かせるか」「読ませるか」のためにキャッチコピーが大事なのだ。この本を読んで、こうした仕掛け作りが、上手にされている。
僕も、メーカー宣伝部時代、叩き込まれたポイントだ。大学時代(4年生)に通った銀座の「宣伝会議」主催の「コピーライター養成講座」。その当時、脚光を浴びるコピーライターの面々が講師だった。糸井重里、仲畑貴志、林真理子、真木準などなどすごい講師陣で、この講座に通うのが楽しみだった。実際彼らのコピーが生まれた背景、制約あるクライアントの条件のなかで、世の中に認知されるコピーができるまでの苦しみなど、拝聴したが、彼らは「とにかく、たくさん書いて書いて書きまくれ」と力説した。
中谷彰宏は、とにかく「書いて書いて書くまくる」作家でもある。しかし、彼はベストセラーよりロングセラーをつくる「構想力」を持っている。つまり、この本でも指摘しているように、「構想力は、シリーズ化力」だと。単発の「点」で終わらないで、必ず線→面→立体につなげていけと。彼は、本の表紙のデザインも、タイトルも第2弾、第3弾を考えて一緒に作ってしまう。そして、シリーズ化していく。この本も「一流の常識を破る」シリーズの⑥であり、この本が楽しければそしてタメになるなら、①も②も買ってみようということに、つながっていく。
つまり、発想力と構想力の徹底的な差は、ここにある。
構想できることが、プロたるゆえんです。
発想は、「思いつき」「ヒラメキ」です。
構想は、発想を「継続させる」「ビジネスにする」ということです。
発想を単発的な考え方とすれば、構想は連続的な考え方。単発の考え方や一発のまぐれ当たりは、誰でもできるが、連続させることは、プロの仕事と著者は説く。
小さな思いつきを継続させることによって、ロングセラーが作られていく。
ベストセラーではなく、ロングセラーを作ることが大切であることが、理解できる。
いかに、「構想力」を持った仕事をしていくのか。中谷流の視点を学んだ。
自分のプロデュース商品を見てみれば、いずれも「単発」では終わっていない。
たとえば、「さくらワイン」。ヴィンティージをつけることによって、その年のテイストが楽しめる。また、熟成が楽しめる。そういうワインファンの要求に応えている。
しかし、秋田のワインは、残念ながら、どのメーカーも「ヴィンティージ」をつけない商品が、ほとんどである。つまり、翌年に残ってもいいように、売りやすいように、「ヴィンティージ」をつけないというのだ。小売やメーカーの身勝手な判断基準が、そこにある。
でも、僕らは、「その年の生産者に感謝の意味をこめて」ヴィンティージをつけている。毎年収穫される葡萄の出来が違うからであり、収穫する栽培者の苦労や喜びも違うからといった信念を持っている。
ヴィンティージをつけることで、シリーズ化していると自負している。お客様にとって、「今年(2008年収穫)のさくらワインは、また昨年と違って、酸がいきいきしていたよね」とか「私は、2007年収穫のほんのりと甘さが引き立つさくらワインが良かった」とかの楽しみが増すはずと思っている。
そして、今年そうした皆々様から「スパークリングが欲しい」という要望にやっと応えることができ、スパークリングワインもデビューさせた。これにも、敬意を称し、ヴィンティージを入れた。スパークリングを発売できたことで、「さくらワイン」に広がりがでてきた。
こうした「思い」の積み重ねで、ロングセラーを目指していきたいと考える。
中谷彰宏の「超一流の構想術」は、商品開発のヒントが満載された本だった。僕の考え方、コンセプトの方向性の確認できた。
早朝の読書は、脳を活性化させ、方向性を示す。そして、これからの展開にヒントを教えてくれる。さらに、読み終え、すぐにブログに感想を書くことによって、自分自身の理解度が2倍くらい増すような気がする。GWは、朝の発注作業がないため、5月6日まで、毎日本を読み、こうした作業を続けたいと思う。