「しかけ人たちの企画術」は、ヒントの宝庫 |
企画とは世の中を幸せにするタネのようなもの。
ちょっとしたアイデアが、社会で芽を出し、すくすくと育って、花を咲かせる。それによって、たくさんの人たちがよろこび、幸せになっていく。その出発点が「企画」である。そんな思いからスタートしたのが、東京企画構想学舎の座学講座である。この講師陣がまたその世界では、一流の企画人。吉田正樹、堂山昌司、奥田政行、小山薫堂ほか5名らだ。テレビプロデューサー、経営者、料理人、作家、広告クリエーター、デザイナーなど業種も多方面に広がっている。企画の出し方もそれぞれ違う。だから正解はない。ただ言えることは、「世の中をしあわせにしていること」だ。
この本は、書店でジャケ買いしたものだ。なぜか、本の帯のコピーに惹かれたからだ。
その企画は、新しいのか?楽しいか?誰を幸せにするのか?
この一文に魅了されて購入した。それは、弊社カネトク卸総合センター株式会社の理念が「しあわせ感の創出」だからで、「しあわせ感」を引き出す術のヒントをこの本に期待したからだ。そして、より「しあわせ感を創出」できているのか、そのような商品やサービスを開発しているのかを確認するためだ。
第1講のテレビプロデューサーの吉田正樹さんの「企画のよしあし」のポイントは、まさに共感である。
「いかに人の生活から時間をもぎ取るか」で決まる。
強烈なホンネである。要するに、今日見たくなるコンテンツ、今見ないとダメなコンテンツをつくるかどうかだということだ。僕らの仕事に直せば、今日買いたくなるもの、今買わなくなくてはダメなもの、そして優越感に浸れ、しあわせ感を創出する商品を開発、マーチャンダイジングできるかということになる。
昨年、弊社にとって劇的なことがあった。「小公子スゥイート・ノンフィルター」という弊社プロデュースの6年目のワインが、発売前から話題になっていた。ワイン専門誌「wi-not?」でAAA(トリプルエー)評価され、首都圏の愛好者から予約が殺到した。そして地元ABS(秋田放送)がその話題を嗅ぎ付け、取材を受けTVのニュース番組で放映された。翌日の発売日当日に、弊社前に大勢のお客様が行列を作った。秋田市や能代市、男鹿市、由利本荘市、さらには盛岡からもお客様やワイン愛好者が来店された。そして見事2日間で700本完売する。
昨年クリスマス前にリリースした「小公子スプラッシュ」(小公子・赤のスパークリングワイン)も大好評で、10日間で完売と人気を博している。
これらは、弊社がかねてからアナウンスしている「秋田ならではの山葡萄品種”小公子”」のアピールと安心感のある生産者、そして委託醸造先の技術力が、僕らの企画意図とマッチし、多くのお客様が支持してくださったからだ。今でも、多くのお客様から「ほしい」とリクエストが多い。企画者として、うれしい限りである。
クリスマスの乾杯用やプレゼントに使いたいというご指名は、企画者冥利に尽きる。少しでも「しあわせ感」を享受していただけるお手伝いができていることだ。
こうしたシーンを多く増やしていきたいと考えている。よくお客様に「この店に来ると、おもしろい、こだわりの商品が必ずある」といわれる。時間を作っていただき、そういう期待を持って来店してくださっているお客様の期待を裏切らぬよう、精進していきたい。
小山薫堂さんの言葉ではないが、「その企画は、新しいか?楽しいか?誰を幸せにするのか?」を考えながら、「おもしろいセレクトショップ」を目指していきたい。
この本は、プラスになる企画のヒントが詰まった本だった。とかく弊社の理念と合致するような話が多く、頷きながら読破できた。