能代港まつり花火大会「二尺玉、三尺玉」大成功! |
僕はラジオを聴きながら、能代へと向かう。息の詰まる接戦を演じていた。5回に能代商が逆転、7回に同点。そして8回に代打が的中し1点勝ち越す。このあたりに能代市内へ。商店街は、人影すらない。能代市民はテレビの前に釘付けだったのだろう。
そして最終回、僕は能代の銘菓「翁飴」本舗で、名物の「翁飴」を購入。「能代商業いけそうですね」と問うとにっこりと笑う。車に戻ると、秋田商最後のバッターが内野フライを打上げ、その瞬間能代商業の優勝が決まる。
3時過ぎに秋田放送ABSの中継車内で渡邉ディレクターと酒井摩耶アナウンサーと打ち合わせ。もちろん僕には、シナリオはない。「思ったことをお話ください」ということだった(笑い)。打ち合わせは、5分ほどで終了し、大会関係者に挨拶に伺う。
いずれも開口一番「能代商、甲子園!ヤッタ!」といった地元の高校のうれしい話題に終始した。みんな「笑顔」「笑顔」である。僕は、もう「今年の能代の花火は、”花火で笑いまショー”は、もう成功ですよ。みんなスタッフがにこやかじゃないですか。特に会頭中心に」と当の広幡会頭にお話し、「会頭のプログラムの笑顔の写真がよかった」と談笑した。
能代の花火には、多くの花火鑑賞士の皆さんや花火愛好家の方たちも、全国各地から訪れている。奥村純さんや久光さん、伝書鳩さんなど7、8名と情報交換をさせていただいた。久光さんからは、先週の伊勢神宮の花火大会のDVDを頂戴する。花火大会が始まるまでの数時間も、花火愛好者にとっては貴重な情報交換の場となり、交流できる場となる。ここで得る情報は、まさに生きた最新情報が多い。やはり花火愛好家の2010年の最大の関心事は、「大曲の花火」である。「今年は、なんとしてでも、桟敷が取れなくても、大曲に行きます!」という方の多いこと。それだけ「大曲の花火100年」に期待が寄せられている。
午後6時30分過ぎに花火師へ取材。各社の「競演・幻想花火」のエッセンスを聞き出す。こうした情報を基に、本番ではアドリブで紹介していくネタとなる。
会場も「能代商業優勝」を決めてから興奮冷めやらぬ市民が午後5時過ぎからどっと集まってくる。6時30分過ぎには、有料桟敷席、有料席もすべて完売。会場内でも「能代商業」効果でヒートアップしている。僕のYEG友人で能代商業のPTA会長を務める大塚さんからも「解説で能代商業優勝をアピールして」と電話をいただく。
ここ数年、この会場では雲が低く、大玉が雲の中で見えず残念な思いをしてきた。後は、最高のコンディションを祈るだけである。
午後7時半、開幕スターマインで能代港まつり花火大会のオープニング。斉藤能代市長の挨拶でも、「今日、能代商業が甲子園出場を決めました。今日は、花火でお祝いしましょう!」と
おめでたい雰囲気いっぱいだった。
ABS秋田放送の番組のポイントも能代花火の二大見所「三尺玉」と「競演・幻想花火」を中心に進行をしていく。しかも「三尺玉」は空の状況を見計らって打上げるというミステリータイム方式だ。
前半のハイライト「特製尺玉競演芸術玉10号」は、生憎の煙の中へ。朧気にしか見えず残念。やはり、300m上空はなかなか厳しい。また、一発は筒跳ねで地上で開花。残念な打上げでもあった。
しかし、今年は珍しく風があるため、中盤から上空の雲も流されていく。
見所の音楽と花火とのシンクロさせる創作花火「幻想花火」4社競演。約3分30秒のワイドスターマインである。アナウンスの2人も、あえて「大曲流」に「だいじゅうきゅうーごおおおおお!」「直訳ロック 花火伝説。小松煙火工業」とやってくれ会場から笑いをとる。
今年の花火のテーマが「みんなの笑い」。いかに花火で笑わせていくか、その花火センスが問われるもの。各社の花火にコメントをしたい。
小松煙火工業「直訳ロック 花火伝説」
こちらは、ディープ・パープルの名曲「ハイウエースター」と「スモーク・オン・ザ・ウオーター」を王様が日本語で直訳をした歌詞でおもしろおかしく歌った歌。それに合わせて花火を打上げる。特殊点滅やVトラなどの演出効果を使いながら展開。ま、曲の歌詞で笑ってくれといった内容で、花火では笑えないほど「綺麗な展開」だった。
北日本花火興業「花火がデュエット―ご存知野良着のラブソング―」◎
曲は、「麦畑」。こういう展開モノを作らせたら、北日本花火は抜群である。男と女の掛け合い花火だった。麦畑の中のラブストリー。しかもオトコは、酒に酔った「トラ」(虎)。オンナは、ブタちゃんを型物花火でしっかりと印象付ける。そして合体、ラブラブといったストーリーが読み取れるほのぼの?した作品でした。まさに「花火で笑いましょう!」のコンセプトにふさわしい花火だった。
大曲花火化学工業「メドレー♪よし いくぞー!!」
これは、相当艶かしい花火だった。少し間抜けた顔の女性に見えたが、恍惚女性を描いたらしい。そして笛付の白いトラがゆっくりとあがっていくなど、ディテイルにこだわった前半だった。後半は、吉幾三のメドレー全開。あまり笑えないオトナの花火だった(笑い)。
和火屋「プリキュアオールスターズ―良い子のみんな笑今笑―」
二人の女の子のパパ、久米川クンらしい花火。プリキュアオールスターは、17人。その17人を花火で表現。17色を駆使した色使いはお見事だった。色にこだわる和火屋ならではの展開で、小さいお子様は大喜びだったに違いない。
この「競演 幻想花火」の大曲花火化学工業と和火屋の間に、大会の目玉「三尺玉」が打ち上がることに決定する。撮影現場も、大混乱に。
ミステリー・タイムとはいえ、ここに入るとは。
二尺玉、三尺玉、尺玉(三連発)の順番に上がる。打上げ場所がすべて違うため、見逃したカメラマンも多かったものと思われる。プログラムでは、尺玉から書かれているため、そのようにカメラを構えていた人が多かったらしい。アナウンスでもここのところは、アピールして欲しかった。
二尺(昇曲付冠菊小割浮模様)は、最高の出来だった。三尺玉は、二尺よりさらに離れた場所からの打上げのため、二尺と同じ大きさに見えるのだが、音の迫力は抜群だった。まさに「白神の轟」である。阿部煙火の魂の玉だった。昇曲導錦冠先変化彩色小割浮模様だった。
しっかりとクリアに見えた。轟音を響かせ、黄金入り冠菊が垂れていく様、そして小割で浮模様を披露する。まとまり感の高い花火だった。
後半の3題は、「満足」の二文字だった。
地上花火、水上花火。ワイド超デラックススターマイン、フィナーレ・フルワイド・スターマインと最後の最後まで、幅を使った見事な演出を見せてくれた。各社の持ち味を発揮した大会だったと思う。
第8回能代港まつり花火大会は、雨も降らず、後半からは絶好のコンディションとなった。「能代商業高校、甲子園出場!」記念大会といった様相だった。この時間、北秋田市、鹿角、由利本荘、秋田、大仙、仙北では雨が降っていたというから、奇跡に近い。能代エリアの晴天は「能代商業」がもたらしたものかもしれない。
この大会、年々バージョンアップし、企画が楽しみな大会へと成長しつつある。7月開催の東北の花火の中では指折りの評価だろう。あとは、尺玉がきちっと見えるかどうかだ。例年雲が低く、7時の頃は、風もおさまり凪の状態になる。港の立地特性だからしょうがないか。
だとしたら、5号玉での個性あふれる創作系花火の展開にこうした弱点を見出すことだろう。ま、4年に1回は見えるということでは、あまりに確率が悪すぎる。
大勢のお客様の顔は、満足感で一杯だった。帰りお客様も「笑顔」だった。屋台もほとんど完売状態でご機嫌だった。今年の能代は、「いいこと尽くめ」の記憶に残る大会となることだろう。
最後にABSの酒井アナウンサーと記念写真を撮る。話の引き出し方が上手く、気持ちよく解説させていただいた。