山形・鶴岡・アル・ケッチャーノ奥田シェフのベジ・イタリアン! |
この会の趣旨はこうだ。
今、空前の「山形ブーム」。映画おくりびと、映画山形ストリーム、NHK大河ドラマ「天地人」、山形発信のレストラン”アル・ケッチャーノ”の奥田政行シェフ、新ブランド米「つや姫」、モンテデビオ山形など。2009年の東北で、イケイケだったのは「山形県」である。その背景や仕掛けの舞台裏を見学する研修会に参加してきた。
参加者がすごい。JTB東北の小林社長、全日空の高橋仙台支店長、仙台ターミナルビル菊池社長、パナソニックの守屋東北支社長など東北経済界の重鎮たる方々が、20名参集する。僕だけが、場違いという感じだった。
バスの中で、こうした「山形ブーム」の背景などの解説付き。はじめに向かったのが、今や注目の庄内の名店奥田政行シェフが経営する店、「アル・ケッチャーノ」へ。
20名と大人数のため、隣の姉妹店「イル・ケッチャーノ」を貸切で昼食となる。奥田イズムというべき、庄内で獲れた生命力溢れる食材を使用した創作イタリアン料理を満喫する。食通のみならず、日本を代表するイタリアンシェフたちさえも、一度は食べてみたいという評判のお店なのだ。今回の参加者のほとんどは、奥田シェフの料理を食べたいという方が多かった。僕もそのうちのひとりである。
10種類の料理とデザート&コーヒー(紅茶)である。
メモったメニュは、次のとおり。
・庄内浜のワラサのカルパッチョ
・庄内牛のカルパッチョ、生マッシュルーム添え
・ぶり子入りハタハタと白ねぎの炒め料理
・庄内柿とくるみと野菜サラダ
・野菜と庄内豚ベーコンパスタ
・山伏ポークと藤沢カブ
・牡蠣の「はえぬき」リゾット
・マルゲリータ(ピッツア)
・赤ねぎ・ベーコントマトパスタ
・生マッシュルーム・パルマ生ハムのクリームパスタ
・ケーキ(ムース&アイスクリーム)
・コーヒー(紅茶)
といった盛りだくさんのメニュだった。スタッフに「これでいくら?」とこっそりと聞いたところ、お一人様3,300円という。4人前の大皿に盛られてきて、小皿に分けて食べるといったスタイルだ。
評判とおり、野菜がおいしい。しかも、みずみずしいのだ。そして、各テーブルから「うわー、本当においしい!」とか「評判以上の味だ」とか「この食感、信じられない」といった感嘆の声が上がる。
僕が、これはとすごいなと思える料理は、「生マッシュルーム」の素材のおいしさ。マッシュルームをほとんど生で食べたことがなく、香りのいいし、噛み応えのある食感。庄内牛の生、つまり刺身にバルサミコソースとオリーブオイルのカルパッチョスタイルだが、牛の匂いも生マッシュルームが消し去り、口中をさわやかにする効果もあった。
ぶり子入りハタハタと白ねぎの料理は、まさしく旬の日本海の味である。ハタハタ料理がイタリアンになるのだ。実にきれいな盛り方だ。ナイフが似合うハタハタは、初めての体験だった。
アル・ケッチャーノの冬の名物料理「山伏ポークと藤沢カブ」である。これは今日の絶品!カブの辛味がポークによくマッチする。この藤沢カブ自体が、アル・ケッチャーノと農家後藤勝利さんとのコラボレーションから復活させた手のかかる焼畑農法で生まれたものだ。カブの辛味が、少し甘い豚肉をさらに引きあげる。
これが噂の藤沢カブ。
そして、今日のパスタ3種類の中で抜群に評判だったのは、生マッシュルーム・パルマ生ハムのクリームパスタだった。濃厚なクリーム系のスープパスタ風であるが、ここでもポイントはパルマ生ハムの塩気と生マッシュルームの芳香性だろう。おなかいっぱいになっていたが、クセになりそうな味だった。
とにかく、満足!おいしい!もうこれ以上の言葉は出ない。平日でも、予約でいっぱい。土日は、予約なしでは絶対に入れないとのこと。数ヶ月前の予約が必要とのことだ。銀座の山形県のアンテナショップもまかされており、奥田さんへの期待は高い。山形・庄内の宝である。本日よりマガジンハウスから出版となった奥田シュエフの本が、店内にも山積みされていた。この研修会の熱心な参加者の人たちは、購入されている人が多かった。
なぜ、アル・ケッチャーノが流行るのか。すべて庄内の地元食材をうまく引き出し、その生産者がさらに一生懸命に作りたくなるような創作料理を作る。そして、生産者や漁業者の顔が浮かぶ料理づくり。そうした奥田シェフの「庄内愛」を感ずる料理を提供する。だから、わざわざ庄内まで彼の料理を食べに足を運ぶファンが多いのも頷ける。こうした明確なコンセプトや姿勢は、共感を覚え、勉強になった。
(おくりびとと街づくり編は、後日)