金紋秋田酒造「山吹1995」IWCチャンピオン・サケ受賞祝賀会その2 |
さて、昨日の続きである。
金紋秋田酒造「山吹1995」IWCチャンピオン・サケ受賞祝賀会の祝宴。
料理と酒について紹介していく。
①オードブル(前菜)
洋風オードブル+いぶりがっこ。
ここでは、「古酒シャンパン」と呼べる飲み方を提案する。
「山吹ゴールド10年古酒」(アルコール度数20度)を6:4で炭酸水(ソーダ)で割る。アルコール度数も12度くらいとなり、まるでシャンパーニュのようなテイストとなる。アペリティフ(食前酒)には、もってこいの華やかさがある。高級ヴィンテージ・シャンパーニュは、複雑性があり、色も琥珀色に近づいていく。この古酒の炭酸割りは、それらを髣髴させる。
古酒は、「燻製物」にとてもマッチする。だからあえて、スモークサーモンやいぶりがっこも用意させた。炭酸が入ることで、様々な料理との相性も拡大される。「古酒シャンパーニュ」とオードブルは、よくマッチする。
僕の隣の秋田県卸の高橋常務は、「小西君、これはまさに高級シャンパンだよ!」と感嘆されていた。
②海老の塩味炒め(中華)
中華には、やはり「紹興酒」風のテイストでお酒をサーヴする。
古酒は、独特の熟成香がある。そしてやや褐色がかった黄金色した「紹興酒」やシェリー酒に似た色合いとテイストがある。ここでは、「山吹シルバー10年古酒」を6:4でお湯割りでサーヴ。まさに「紹興酒」風で、中華料理との相性が抜群だった。とくに、この酒の甘みと料理との甘みが実によくマッチした。古酒の温度帯の広さを感じていただいたと思う。
③鯛の香味焼き(洋食)
ここでは、温度帯の広がりを確認していただき、クラッシュアイスロックで「山吹5年」を召し上がっていただく。。鯛の香草焼きをバタークリーム系ソースで召し上がるもの。5年古酒がクラッシュアイスで解けやすく、アルコール度数も時間とともに下がっていく。そして、古酒自体がバタークリーム系ソースといかに合うのかが、認識できる。ここでサーヴした5年モノ古酒は、色合いが濃くなく、白ワイン風でやや黄色がかった色合いのもの。この料理との相性ともよく、秋田銀行の加藤専務も感心されていた。
④フランスパン
バターとの相性ならびに、鯛料理のクリームソースとも一緒に召し上がっていただいた。やはり、バター系ソースには、古酒は合わせやすい。
⑤西明寺栗と若鶏特製ソース掛け(中華)
ここで、IWC「チャンピオン・サケ」に選ばれた「山吹1995」が登場である。原酒そのものをじっくりとストレートで堪能してほしいと思った。中華の酢のきいたしょうゆベースの特製ソースと、実にこの酒がマッチする。この「山吹1995」は、1988、1993、そして1995の古酒のアッサンブラージュつまり巧みなブレンドによって作られた見事なハーモニーを感ずるお酒である。その風味のやわらかさ、アルコール度数が19度あるようには思えないほどの落ち着き感さえある。20年以上の古酒も使用されていることによる熟成の極みともいえる粘着性を感ずるトロみや甘さすらかすかに感ずるすばらしい酒となっている。どのテーブルからも、「さすが受賞酒!おいしい!」といった賞賛の声があがる。ほとんどのお客様から「おかわり」の要求だ。北都銀行豊島常務、そして富樫羽後信用金庫理事長代理常務からも「これが、日本酒なのか?」といった声。同じテーブルで、酒の説明に忙しい。
⑥チーズ二種とドライフルーツ(洋食)
チーズは、フランス産のナチュラルチーズ「コンテ」と「ミモレット6カ月熟成」の二種類用意。
いずれも、ハード系チーズで、実によくこのお酒(古酒)とマッチする。また、マンゴーのドライフルーツとの相性も抜群である。
⑦うなぎの巻き寿司といなり寿司(和食)
古酒は、こってり系の料理に絶妙な相性を発揮することが良く理解できたが、酢飯との相性も良いことが、この組み合わせで理解できる。ここでは、珍しい「貴醸酒の古酒」と試した。「貴醸酒」とは、水で仕込まず、酒で仕込んだ珍しいお酒である。しかも、甘く造らず、辛口仕立てであるから、料理とも合いやすい。貴醸酒を「燗ロック」つまり、熱燗をクラッシュアイスに注ぐ飲み方。これは、料理の温度帯を考え、熱燗で香りを飛ばし、クラッシュアイスに注ぐことで温度を下げることにより、より料理そのものの温度帯に近づける。さらに飲みやすくなり、お寿司のうまみを引き立てる。
このあたりで、もう満腹感が漂う。今回は、参加者に「満腹感」を与えることも計算して、料理をセレクトした。満足感が違うからだ。様々な経験を通して、こういう感覚が鍛えられる。
心地よい気分になったところで、柴田周子さんのクラッシク・ギターの登場である。各テーブル盛り上がっていたが、次第に柴田サウンドに惹きつけられていた。
⑧アプリコットのムース フルーツ添え
最後は、金紋秋田酒造の人気商品「こまち梅」という梅酒。この梅酒も十年古酒ベースで仕立てたもの。だから落ち着き感と複雑性のある梅酒となっている。アプリコットムースをその甘みある梅酒といっしょに楽しんでいただいた。あんずと梅はよく似ており、アプリコットムースとソースには、とてもとてもマッチした。
中締めは、秋田銀行の加藤専務。「古酒の魅力を認識した」と挨拶後、万歳三唱で締めていただいた。
満足感あふれる楽しい一夜だった。フォーシーズンの料理チーム、サービスチーム、フロントチームの頑張りに感謝したい。すばらしいおもてなしだった。
司会進行のチャーリー・ホイこと保泉久人のあの声のよさと機転のよさは、心地いい。素敵なフリーランスのアナウンサーになったものだと思う。これからの彼の活躍にさらに期待したい!
翌日早朝、講義のため、盛岡に向かったが、佐々木孝さんがいうように、「古酒は二日酔いしない」というのは、本当だった。恐るべし、「山吹1995」。改めてそのすごさを認識した。
佐々木孝さん、本当におめでとうございました!