この季節の「旨い酒」-ひやおろし- |
この時期に、県内日本酒各醸造元より、「ひやおろし」が発売される。
「ひやおろし」とは、その年に仕込まれた新酒を、ひと夏蔵の中で、熟成させ、酒質が落ち着いてきて、うまみがでてくる、まさに飲み頃の酒のことをいう。秋口に出荷されることから、「秋あがり」とも呼ばれる。
本来は、新酒を一度火入れし、蔵の中でひと夏を越し、程よく熟成したところを「生詰め」した製法の酒を「ひやおろし」と呼ぶ。こうした正式な製造方法で、「生詰め」で出している蔵元は、数少ない。
しかし、昔からの製法を頑なに守り、出荷している「正調 ひやおろし」もある。うれしい限りだ。それは、このあたりでは、刈穂や秀よしである。
秀よし「ひやおろし」純米吟醸(500ml)
小西コメント:山田錦を使用した良心的な純米吟醸。秋田流花酵母を使用しているため、華やかな香りが楽しめる。1,050円
秀よし「ひやおろし」純米酒(500ml)
小西コメント:美山錦を使用し、60%精米の旨みのある純米酒に仕上がっている。酵母も協会901号使用。あまり、香りが主体にならず、料理を引き立てるうれしいお酒だ。819円
刈穂「ひやおろし」山廃仕込純米酒(生詰め)(720ml)
小西コメント:酒母・もろみを60日以上行い、山廃仕込みで醸造した純米酒。長期低温発酵によるきめ細かな旨みと山廃ならではの酸度の高さが見事なハーモニーを奏でている。刈穂は、やはり6ヶ月以上寝かせたほうが、味わいが出て美味しくなる。1,260円
9月は、湯豆腐や鍋物が出回る季節。こうした温かい料理に、冷えた正調「ひやおろし」が絶妙にあう。9月ならではの、冷酒で味わうのが、本当の飲み方なのだ。こうして楽しむと、十分な「旨み」を堪能できる。酒は、やはり寝かせるに限る。近年、製造月日のみをチェックするお客さんも増えてきたが、「お酒の全うな飲み方」を教える酒屋のオヤジも少なくなってきた。僕は、そういうオヤジでもよいのではと思ってきた。でなければ、酒がかわいそうだ。